宇多田ヒカルNew Album「Fantôme」について

 9月28日、宇多田ヒカルが8年ぶりのオリジナル・フルアルバムを世に送り出しました。

Fantôme

Fantôme

 

 

 私は幼いころから今に至るまで音楽を続けている人間ですが、その原点が彼女です。

 初めて自分のものとしてゲットしたCDが、彼女の1stアルバム「First Love」でした。

 

 当時の私は、歌詞の意味も分からずただそのメロディーを口ずさんでいるだけでしたが、今思えばわずか15歳であの詞を書き上げ、哀愁たっぷりに歌う様は、まるで日本音楽界に突如現れたモンスターだったのでしょう。

 

 そんな宇多田氏が今回発売した6枚目のアルバムの中で、私が最も惹かれた歌が1曲目の「道」。現在、Amazonのアルバム内曲別ランキングでも1位の人気曲です。

 「サントリー天然水」のCM音楽に起用されているのも大きな要因の一つでしょう。


サントリー天然水『水の山行ってきた 南アルプス』篇 60秒 サントリー CM

 

 アルバム全体を通して、今までの宇多田ヒカルとは違う印象を受ける今作。自身もNHKのSONGSで語っていましたが、詞も声も以前のものとは変化したようです。

 

調子に乗ってた時期もあると思います
人は皆生きてるんじゃなく生かされてる

 

 「道」の中で私が好きな歌詞です。

 幼いころからスーパースターとして芸能界で生き続け、普通の女の子としての暮らしが許されなかった彼女が、数年間仕事を離れ、「人間活動」を通して、また母・藤圭子の死を乗り越えて、身から零れ出た一節だと思います。

 

 一方で、「生かされてる」ことって、宇多田氏だけじゃなく私も意外と忘れてるかも…と考えさせられる詞です。

 

 良いことが続いたり、人から評価されたり、気分が高まっていたり…

 そういうことがあると、人は勝手に大きくなった気がして、調子にのってしまう。

 でもこの歌は、

 「ちょっと待って。本当は人って一人じゃなにもできないんだよ。だから繋がるんだよ」というメッセージを伝えていると、私は解釈しました。

 

 lonely roadだけれどnot aloneという歌詞も素晴らしいと思いました。

 結局、自分の道を歩くのは自分しかいないけれど、決して一人で生きているわけじゃないという思いがあるのではないでしょうか。

 

 以前は、胸が締め付けられるような切ない歌声で人気だった彼女ですが、強さと優しさの増した声と歌詞で、歌手としても人間としてもパワーアップし、またファンを魅了しています。

 

 私の音楽の原点である宇多田ヒカルが、今度は「生かされている」という人間の原点にも立ち返らせてくれました。しばらくはこのアルバムのヘビロテが続きそうです。

1件目を書く難しさ

 ブログ。ずっと書いてみたかったんです。

 

 元々文章を書くのが好きだけれど、某SNSでは表現したいことに対して字数制限が厳しすぎる…そうして、グルグル考えているうちにここに辿り着きました。

 

 ただ、いざPCの前に来てみると、1件目って何を書いたらいいのか分からない。でもなんだかすごくワクワクしているので、さして特別でもない今の思いを書きます。

 

 私は、今年の7月まで中国という国にいました。そこでは、ネット上で書きたいことが自由に書けるわけではないし、皆さんご存知の通り、検索してはいけないワードさえありました。例えば「天安門事件」と検索すると、そのページは表示できないとされます。

 政府に批判的な記事を書いたジャーナリストが拘束・失踪というニュースが、ここ数年でよく聞かれますね。

www.asahi.com

 

 そうした国にいた人間からすると、一般人が自分の意見を述べられる自由は決して当たり前のものだとは思えないのです。もちろん私自身が中国政府に何かされたということは一切ありません。ただ、そうした言論統制ガチガチの世界に一度足を踏み入れた者として、この気持ちは大切にしたいと考えております。

 

 以前、ジャーナリストの方が元共同通信社の新井直之氏の言葉を教えてくださりました。

 「今言うべきことを言うーーのがジャーナリズムの使命である」

 言いたいことが言える世の中に感謝。

 

 思いのほか壮大になりすぎた感がなくもないですが、最後に一言。

 

 はじめまして。

 

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